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「優勝したい気持ちがどこよりも強かった」京都橘。オール3年生で5年ぶりの近畿王者に

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京都橘高が近畿大会の頂点に

[6.17 第72回近畿高校サッカー選手権大会決勝 阪南大高 0-2京都橘高 三木防災陸上]

 近畿地区のインターハイ予選で上位進出した16チームによって争われる「第72近畿高校サッカー選手権大会」の決勝が、17日に行われた。阪南大高(大阪1)と京都橘高(京都1)のカードとなった決勝は、MF旭奈滉人(3年)の2ゴールによって2-0で京都橘が勝利し、5年ぶり2回目の優勝を果たした。

 1週間前に行われたプリンスリーグ関西で対戦した際は、1-0で阪南大高が勝利。「2週連続で負けられない」(米澤一成監督)京都橘はこの日、3日で4試合というハードスケジュールを考慮し、攻撃陣の顔ぶれを前日からガラリと入れ替え、フレッシュなメンバーで試合に挑んだ。

 スタイルも1週間前とは大幅に変えた。今年は後方から丁寧なボール回しが特徴だが、「昨日は2試合こなしたので今日は走力戦。相手の守備ラインを疲労させるために相手DFの裏を狙って、僕たちボランチがセカンドボールの回収を徹底した」(MF佐藤陽太主将、3年)という理由で、インターセプトから素早く相手エリアに長いボールを配給。FW木下渓(3年)の飛び出しや、MF古川巧(3年)のサイドアタックから見せ場を作り、前半9分にはオフサイドとなったもののゴールネットを揺らす場面も作り出した。

 指揮官から「前半のうちに試合を終わらせるつもりで」とメッセージを受けてピッチに送り出された攻撃陣は、守備でも奮闘。相手DFに対して、猛烈なプレスを仕掛けて阪南大高に攻撃の糸口すらも与えない。

 加えて印象的だったのは、攻撃陣が攻守で良いプレーする度に、「ナイスプレー」と大いに沸いたベンチ組のリアクションだった。オール3年生で挑んだ今大会は、”俺たちの代で優勝したい”との想いとともに、勝ち進むにつれて右肩上がりでチームの雰囲気が良くなっていった。本来ならば、準決勝を終えた前日に一度、京都に戻るつもりだったが、「試合に出た子もメンバー外の子も良くやってくれていた。この子たちの雰囲気を壊したくないから、急きょ泊まりにした」(米澤監督)。

 そうした後押しを受けた京都橘は以降もチャンスを作り続けると、35分には佐藤がワンツーでPAへ抜け出し、シュート。GKが弾いたボールを古川が押し込んだが、再びオフサイド判定を受けた。

 だが、京都橘は2度目のぬか喜びにも気落ちすることなく、直後の35+1分にも高い位置での守備からFW久保成世(3年)がゴール前にパスを展開。相手DFに当たったボールを「今大会はスタメンで出られていなかったけど、今日は出番を貰えた。インターハイへのアピールができればと思って、走れるだけ走った」と振り返る旭奈が押し込み、均衡を崩した。

 京都橘の勢いに飲まれた阪南大高は、後半開始とともにFW清水健生(2年)を投入し、システムを変更。MF松野友亮(3年)のパスからMF窪田息吹(3年)とMF桑波田詞音(3年)がサイドを仕掛けたが、DF藤橋怜士(3年)を中心に集中力を保った京都橘の守備を崩せない。我慢の時間が続いた京都橘も後半17分、ショートカウンターから左サイドを破ると、木下がゴール前にパス。PA内で佐藤が流したボールを反対サイドの旭奈が決めて、京都橘が2-0で試合を終えた。

 近畿大会を3年生のみで戦った京都橘だが、大会後は再び下級生も交えた通常のチーム編成に戻る。3年生だけで挑む“最後の大会”であるため、優勝の喜びもひとしおで、佐藤は「3年生でタイトルを獲りたいと全員が思っていた。優勝したい気持ちがどこよりも強かったと思う」とコメント。米澤監督も「『俺らの代で勝ちたい』という気持ちが凄く見えた」と選手を称えた。

(取材・文 森田将義)
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