【サンパウロ(ブラジル)16日=岡崎悠利】気鋭の18歳が世界基準の1発を目指す。南米選手権(コパ・アメリカ)に参加している日本代表は17日(日本時間18日)、チリとの初戦を迎える。名門レアル・マドリードへの移籍が決まったMF久保建英(18)は、ゴールを決めれば日本代表の最年少得点記録を大きく更新する。海外からも注目される日本の至宝が、大会2連覇中の強敵に挑む。

騒々しいともいえる注目の中にいる18歳は、ひょうひょうとした顔つきだった。「試合の後でお願いします」。海外メディアも含めて押しかけた報道陣をいなすように、チリ戦に集中する姿勢を見せた。この日は練習の冒頭約15分が公開され、ランニングやパス交換などで体をほぐした。

9日のキリンチャレンジ杯エルサルバドル戦でA代表デビューを果たした。14日にRマドリードへの移籍が決まり、高まっていた「久保フィーバー」は最高潮を迎えた。今大会で得点を決めれば、金田喜稔が持つ19歳119日の日本代表の最年少ゴール記録を一気に更新する。世界の名門が認めた久保なら、実現の可能性は十分にある。

さらに、今大会でのゴールは大きな意味を持つ。開催国ブラジルのFWネイマール(今大会は欠場)こそ18歳186日のデビュー戦で得点したが、ポルトガル代表FWクリスティアノ・ロナウドはデビューから8試合、今大会に出場しているアルゼンチン代表FWメッシでさえ6試合を要した。1次リーグで得点を決めれば、これを上回る。

デビューの早さではすでに名だたる選手たちをも上回っているが、あくまで日本での基準だった。しかし今回は、本人も「親善試合とは違う」と語る南米選手権の舞台。ワールドカップ(W杯)のような強度で臨む南米勢から奪う1発となれば、世界の名手たちと比較しても引けを取らない価値を持つ。Rマドリードに選ばれた男の、実力の見せどころだ。

久保は淡々と見極める。「ずっと優勢で試合を運べる展開にはならないと思う。劣勢の時間になにができるか、そこにフォーカスしたい」。言葉には、A代表として臨む自負も感じられた。日本の至宝である18歳が、大舞台でベールを脱ぐ。