全国選手権16強の仙台育英(宮城)が4-0で遠野(岩手)を下し、3大会ぶりの準決勝に駒を進めた。

先制の口火を切ったのは、やはりエースFW佐藤遼(2年)だった。前半9分、ゴール前FKのこぼれ球に反応し、右足で冷静にゴールを決める。2試合連続の先制弾でチームに勢いを与えた。同33分にはFW村井創哉(2年)が2点目のゴール。後半も2点を奪って、岩手王者を圧倒した。佐藤は「まず1点を目標にしているので、先制できて良かった。でも、2点目を取れなかったのがまだまだ」と満足はしていない。

あの悔しさは、今も心に残っている。「自分が得点していれば、勝てたかもしれない」と振り返るのが、今年の選手権3回戦・市船橋(千葉)戦だ。0-0で迎えた前半終了間際、佐藤に合わせた右からのクロスに、頭でゴールを狙ったが外してしまい、「最大の決定機を逃し、流れを変えてしまった」。その言葉通り後半に3失点し、敗れ去った。1年時から選手権を経験するだけに「決め切るところを決め切らないと全国では勝てない」の言葉には、実感が込められている。

次戦の準決勝は25日、八戸学院野辺地西(青森)と対戦する。勝てば、尚志(福島)-青森山田戦の勝者と、同日に決勝で対峙(たいじ)する。佐藤は「2連戦になるので厳しい戦いになると思う。まずは東北大会優勝を果たすため、チームで勝てるようにやっていきたい」と意気込む。そのためにも、「自分の仕事はゴールを決めること」と、宿命を背負いピッチに立つ覚悟だ。15大会ぶりの東北王者へ、悔しさを乗り越えたエースがけん引する。【佐藤究】