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日大は18年ぶり全国で8強躍進も…登録外の4年生を思い声詰まらせたMF大森「もっと上の景色を見てもらいたかった」

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MF大森渚生(3年=東京Vユース)

 日本大にとって18年ぶりの全国大会はベスト8で幕を閉じた。中盤を前後に動いて攻撃を組み立てたMF大森渚生(3年=東京Vユース)は試合後、「負けて帰るのがすごく申し訳ない」と声を詰まらせ、これまでチームを引っ張ってきた先輩たちへの思いを語った。

 日本大は今大会に臨むにあたり、登録メンバー33人のうち31人を3年生以下が占めた。また4年生もDF西羽開(4年=成立学園高)がベンチでチームを支える役割に徹し、MF楜澤健太(4年=帝京長岡高)もスーパーサブ的立ち位置。ゲームキャプテンのDF東憲也(3年=四日市中央工高)を筆頭に、スタメンは全員が下級生だった。

 それでも中盤でのパスワークを担う大森、MF橋田尚希(1年=JFAアカデミー福島U18)、MF長澤壮竜(2年=前橋育英高)のトライアングルをはじめ、最終ラインで攻守に存在感を放ったDF青木駿人(1年=日大藤沢高)、今大会は負傷の影響でジョーカー役となったDF近藤友喜(2年=前橋育英高)ら逸材は多数。全国でも初戦から「2部ということもあってそこまでできるチームじゃないと思われていたと思うけど、自分たちを信じて一つ一つ積み重ねてきた」(大森)というにふさわしいパフォーマンスを見せ、九州産業大と福岡大を連破した。

 ところが、最後は神奈川県リーグの東海大に屈した。秋のアミノバイタル杯で勝利した相手だったが、序盤から相手の激しいプレスにハマって前半のうちに連続失点。ハーフタイムに投入された近藤のゴールで1点を返すも、約10分後に再び失点し、終盤の猛攻は1点にとどまり2-3で敗れた。川津博一監督は試合後、「3年生以下のチームという経験のなさを露呈した」と厳しい表情で振り返った。

 大森もベスト8まで進んだ手応えよりも悔しさを口にした。

「ここで終わるのがもったいなくて……。もっと、上の景色を見てもらいたかったです」。

 脳裏に浮かんでいたのは今大会のメンバー入りを逃した4年生の存在だった。「試合に出ていなくても引っ張ってくれたのが4年生だったので、もっと上に行きたかった」。そう悔やんだ大森はMF金井亮太(4年=水戸ユース)主将についても思いを明かし、「試合に出られない立場で主将をするのは悔しさもあったと思うけど、本当に100%、チームのためにやってくれていた。今日も期待してる、勝って来いよと悔しさを見せずに力強く送り出してくれた。負けて帰るのがすごく申し訳ない」と声を詰まらせた。

 この悔しさは来季、関東1部昇格と全国制覇という目標を達成することで晴らしていく構えだ。大森にとってはプロ入りをかけた1年となるが、まずはチームのため——。「プロを目指しているのは一度もブレていない。ただ、その気持ちがある一方、このチームをより上に導きたいという気持ちがこの3年間で芽生えてきた。自分への評価は自分の積み重ねで返ってくると思うけど、まずはこのチームを勝たせられる選手じゃないとプロにはなれない。そこを大事にしたい」と覚悟を語った。

(取材・文 竹内達也)
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