【清水】特別なシーズンも低迷16位 3つの誤算…担当記者が振り返る

スポーツ報知
ホーム最終戦後にサポーターにあいさつする平岡監督(左から3人目)

 Jリーグが20日、2020年のシーズンを終えた。J1清水エスパルスは新任のクラモフスキー前監督(42)で始動し、攻撃サッカー完成を目指したが、11月に解任された。結局、16位で終え、担当の山田豊記者が「見た」で振り返った。

 〈1〉「コロナ禍の猶予」

 昨季J1で優勝した横浜Mのヘッドコーチだったクラモフスキー前監督が植えつけたのは攻撃力と走力で圧倒するサッカー。横浜Mでさえ1年目は残留争いしただけに、我慢の年になることは予想できた。2月の開幕戦では黒星発進。だがコロナ禍による約4か月にも及ぶ中断で時間を与えられた。前監督は「中断期間を利用し自分達のサッカーをしっかりと構築する」と張り切っていた。

 〈2〉「ワースト記録の連発」

 7月の再開後も振るわずクラブワーストの開幕5連敗。8~9月にはクラブワーストタイの7連敗で、10月14日のF東京戦では3度目の5連敗を喫した。J2降格がないこともあり、複数のJ関係者からはいつからか「コロナ禍でもっとも恩恵を受けたのは清水だよね」という声も聞こえてきた。

 指揮官も試合中は大声をほとんど出さず、選手交代で流れを変えることも少なかった。9月16日の敵地・横浜M戦からは3バックに変えた。のちに、FW金子翔太(25)が「4―3―3で練習してきたが、いまは(守備時は)5―3―2という形。個人個人で攻撃するなど、攻守で形が見いだせていない」と話すなど、動揺が広がった。結局11月1日に解任。平岡宏章監督(51)が就任し、少し持ち直したがリーグワーストの70失点と引き分けができた99年以降ではクラブワーストの20敗。昨季までならプレーオフに回る16位で終えた。

 〈3〉「失われた1年」

 迷走の根本は昨オフだ。5月に就任した篠田善之・元監督(現コーチ)が「現実的なサッカー」で戦い、最終節・鳥栖戦で残留。その後、大榎克己前GM(現強化部長)が中心となりクラモフスキー前監督を招へいした。今年から大熊清GM(56)、山室晋也社長(60)が就任し、“新三役”で始動。だが補強したFWカルリーニョスジュニオ(26)こそ10得点を挙げたものの、横浜Mにくらべ資金力が劣る清水が超攻撃的サッカー完成に向けた補強ができたとは言い難い。

 低迷を受け、大熊GMはC大阪フロント時代から知るロティーナ氏(63)を招へいする見込み。今季もC大阪監督としてリーグで3番目に少ない37失点で堅守が売り。現実的サッカーで勝利を重ねるスペイン人だ。平岡監督は最終戦を終え「清水はもっと上にいけるクラブ。もう一度検証をして、作り上げる必要がある」と話した。来季こそクラブが一枚岩となっての、強いエスパルスの復活に期待する。

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