【清水】プロ初先発の新人FW川本梨誉が初ゴール…最下位脱出フィニッシュ

スポーツ報知
後半4分に先制ゴールを決めて喜ぶ清水のFW川本(カメラ・豊田 秀一)

◆明治安田生命J1リーグ第34節 G大阪0―2清水(19日、パナスタ)

 清水エスパルスはアウェーでG大阪を2―0で下し、最下位から16位に浮上してシーズンを終えた。プロ初先発の新人FW川本梨誉(19)が、後半4分にプロ初ゴール。清水ユース時代から指導を受け、この試合を最後に退任する平岡宏章監督(51)と、現役最後の試合で先発したDF吉本一謙(32)への「恩返し」の気持ちで臨んだ一戦で、19歳が来季につながる一発を決めた。チームはG大阪戦の連敗も4で止め、クラブ初の最下位も免れた。

 平岡監督と吉本への感謝を込めて振り抜いた。後半4分だ。川本の足元にDFエウシーニョのシュート性のパスがピタリ。右足でゴールを狙い澄まし先制した。「シュートがこぼれてきたとき、反応できた。1年間積み上げてきたものが形になった」。直前にFW後藤のシュートを元日本代表GK東口がはじき、川本の前に。左足シュートは好セーブに阻まれたが「次、決めればいい」と切り替えた。同19分の追加点も川本のパスをDFがクリアしきれず、FW金子が決めた。

 先発が決まったのはキックオフの約4時間前。当初はベンチ入り18人にも入っていなかった。しかしけが人が出たため、平岡監督は「90分は出さないのでやれるところまでやってこい」と送り出した。川本も清水ユース時代から指導を仰ぐ指揮官へ「何か恩返しできないか考えていた」。30節湘南戦(11・29)は後半18分に17戦ぶり出場も同39分に交代を告げられた。その後も腐らずシュート練習を続けての初得点。結局プロ入り初のフル出場を果たし、「練習は嘘をつかない」(平岡監督)ことが証明された。

 吉本の引退試合を勝利で飾りたかった。同期の新人FW鈴木は今季30試合に出場するなど、ほぼ毎試合ベンチ入り。一方で川本はベンチ外が続いた。焦る中、励ましてくれたのが左膝の大けがでリハビリ中の吉本だった。試合前、同じく急きょ先発が決まった32歳に「いい形で(静岡に)帰ろう」と言われ、燃えていた。「吉本さんは自分を一番支えてくれた人の1人。引退すると聞いてから恩返ししたかった」。プロ入り後、初の同時出場で最高の結果を出した。

 G大阪戦の連敗を4で止めて16位浮上。昨年までの自動降格圏は脱した。だが指揮官は「不甲斐ない結果。清水はもっともっと上にいないといけないクラブ。もう一回検証して、もう一度チームを作り上げないといけない」と語気を強めた。最終節をもって平岡監督は退任し、今季でのC大阪監督退任が決まっているロティーナ氏の就任が決定的となった。来季は4クラブが降格する厳しい1年。堅守が持ち味のスペイン人指揮官の下、再建を目指す。(山田 豊)

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