試合に勝利し、「ゲッツ」ポーズで記念写真におさまる川崎・中村=等々力陸上競技場(撮影・蔵賢斗)
ギャラリーページで見る 明治安田J1第25節最終日(31日、川崎市等々力陸上競技場ほか)首位の川崎は40歳の誕生日だったMF中村憲剛の決勝ゴールでFC東京を2-1で下した。12連勝で勝ち点68。2位G大阪は札幌に2-1で逆転勝ちし同51。また、今節7試合を実施して今季の成立要件を満たした。新型コロナウイルスの影響で安定的な開催が見通せなかったため、Jリーグは全体の75%以上かつ各クラブが50%以上の試合を消化することを大会の成立要件に設定していた。
40歳の誕生日を自らの得点で祝った。1-1の後半29分。川崎のMF中村はゴール前に上がり、左サイドをえぐったMF三笘からの折り返しを左足でけり込んだ。雄たけびを上げながら何度もガッツポーズ。信じられないという表情で、喜びを爆発させた。
「無我夢中で打ったら入っていました。等々力には神様がいるなと、また感じています」
誕生日に公式戦が行われるのはプロ18年目で初めて。「めちゃめちゃ狙っていた」と、前半から積極的にミドルシュートを打った。FW家長のPKで先制したが、後半に追いつかれ、相手の好守にチャンスを阻まれる時間帯が続いていた。そんな嫌な流れを、8月以来の今季2点目で吹き飛ばした。
J1で40代でゴールを決めたのは6人目。試合前、けがで離脱しているFW小林悠から「(誕生日だから)点とれちゃいますね」とメールが届いた。「それはお前のメンタリティーだからだよ」と返したが、試合が近づくにつれ「決めたくなった」。その気にさせた一言に「小林さまさまですね」と感謝する。
「35歳を過ぎて、一年一年が勝負だった。思えばここまで来たもんだという感じ」と話す。2016年に36歳でシーズンMVPに輝き、17年にJ1初優勝。昨年、39歳になった2日後には左膝の大けがに見舞われ、30代後半は激動期だった。
ルヴァン杯準決勝で完敗したFC東京にしっかり雪辱を果たし、同一シーズンでの連勝記録(延長を除く)を12に伸ばした。「来年の誕生日を迎えたときに、良い1年だったと思えるようにしたい」。不惑を迎えた男は迷わず、2年ぶり3度目の頂点へ突き進む。(山下幸志朗)