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先輩たちが残してくれたものをベースに結果を。堀越が5-0で強豪対決制し、東京制覇まであと2勝

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前半15分、堀越高FW日野翔太主将が先制ゴール

[10.25 選手権東京都Bブロック準々決勝 実践学園高 0-5 堀越高 清瀬内山A]

 29年ぶりの全国へ前進。第99回全国高校サッカー選手権東京都Bブロック準々決勝が25日に行われ、堀越高実践学園高に5-0で快勝。堀越は11月8日の準決勝で東京実高と対戦する。

 ともに東京都1部リーグに所属する強豪同士の一戦は5-0で決着。堀越の佐藤実監督は「正直、こんな点差がつくとは思っていなかった。たまたま自分たちがやるべきことをしっかりやっていて、上手く得点できて、ペースがこっちに来る時間が後半多かった」と振り返る。

 チームとして落とし込んできたことをしっかり表現すること。それが結果に繋がっているようだ。特に守備面については、東京都1部リーグの國學院久我山高戦を2-0で制すなど同リーグ5試合中4試合で完封勝利。今大会も3試合で1失点のみだ。

「考えられるような失点だけはやめよう。それを越えられたら仕方ないと、割り切って」(佐藤監督)というスタンス。注目CB井上太聖(3年)とCB馬場跳高(3年)中心に個の力もある今年、佐藤監督は「完璧に崩されたシチュエーションはほとんどないと思います」と説明する。2回戦は組織力と頑張りも見せていた東京高を延長戦で撃破。この日戦った実践学園は堀越の守りを“壊し”に来ていたが、それも跳ね除けて見せた。

 試合は前半15分、堀越が先制点を奪う。右サイドからのパスを先発起用に応えて奮闘したFW尾崎岳人(3年)がフリック。中央で抜け出したFW日野翔太主将(3年)が相手DFのファウルを誘い、PKを獲得する。このPKを日野が自ら右足で決めて1-0とした。

 序盤、堀越は後方からボールを正確に繋いでビルドアップ。井上のサイドチェンジや日野のテクニック、右MF古澤希竜(2年)のの縦へのスピードなどをアクセントに攻めた。だが、先制後は実践学園の戦いに巻き込まれる形でロングボールと球際でのバトルの応酬に。実践学園は前線からのプレッシャーが鋭く、堀越は相手の土俵での戦いを強いられた。
 
 特に後半立ち上がりは3枚替えしてきた実践学園の圧力を受ける形に。実践学園は大型FW川村涼太(3年)をターゲットに、MF前田青波(3年)やMF倉嶋涼雅(3年)、MF宇田川颯太(3年)らが迫力を持ってゴールに向かってきていた。

 だが、堀越は馬場が「結構ハマるシーンが多くて。自分たちそんなにロングボールを使うチームではないんですけれども。その中でもセカンドボールの回収だったりサイドに展開したり、そこからの攻撃は上手く出来た」と振り返ったように、思うような展開ではない中でも東京を代表するエアバトラー・井上や馬場、ハードワーカーのMF齋藤光(3年)を中心に屈することなく戦い、攻撃の形を作り出す。

 堀越は後半20分、セットプレーの流れから最後はゴール前でボールを受けた井上がターンしながらの左足シュートを決めて2-0。実践学園も攻め返したが、堀越は29分に日野の右CKを交代出場のFW若松隼人(3年)が頭で打ち抜き、3点差とする。

 32分にも若松を起点とした攻撃から、最後は古澤がカットインシュートを決めて4点目。実践学園は最終ラインで奮闘していたCB多田大志(3年)を前線へ上げて1点をもぎ取りに行ったが、堀越は得点を許さない。逆に37分、古澤のラストパスをMF山口輝星(2年)がゴールネットに沈めて5-0で快勝した。

 堀越は昨年の3年生たちの素晴らしい取り組みを今年の3年生たちが受け継いでいる。佐藤監督は「彼ら(今年の3年生たち)を上手く使ってくれて、たくさん良い経験させてくれて、練習の作り方とか、ミーティングの作り方とか、ゲームの向き合い方とか素晴らしいものを残してくれたので、今度は俺たちがちゃんと(結果として)回収しなければいけない」とコメント。同じく東京制覇を掲げた昨年、力はあったものの、夏は全国出場校の大成高、選手権も名門・帝京高に競り負けて目標を達成することができなかった。

 日野は「去年はかなり全体ミーティングをやったり、チームの基本のところから見直せていたので、後ろから繋ごうというのも去年からですし、積み上がったものの今年(の力)かなと。去年の先輩たちが落としてくれたものはかなり大きいと思います」と先輩たちに感謝。今年は先輩たちがやってきたことの正当性を示す戦いでもある。主将は1点勝負などでのメンタリティーの部分を上乗せして、勝負強さを発揮したい考えだ。

 快勝で準決勝進出を決めたが、チームに油断はない。馬場は「Tリーグ(東京都1部リーグ)も勝って、結果も残している。でも実際、自分たちはタイトルなどの部分の結果はまだ何も成し遂げていない。去年から東京制覇という目標を抱いてやっているけれど、去年も成し遂げられなかったのでまだこれからだと思います」。まずは一戦必勝。昨年敗れた準決勝でもやるべきことを表現して、29年ぶりの東京制覇に王手をかける。

(取材・文 吉田太郎)
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