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[MOM3239]新田FW久保純平(3年)_新田のサイドアタックを加速させた前線でのキープ力

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ポストプレーで攻撃の起点となった新田高FW久保純平

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.24 選手権愛媛県予選準々決勝 宇和島東高 2-3 新田高 GF新居浜B]

 39年ぶりの選手権出場を狙う新田高の武器は、DF大野哲平(3年)と落合空(3年)の両SBの攻撃力。中に絞る一列前のMF玉井斗和(3年)、中越翔悟(2年)と息の合ったコンビネーションから繰り出すサイドアタックは簡単には止められない。

 3ゴールをマークした準々決勝でも宇和島東高の脅威となっていたが、清水祐貴監督がマン・オブ・ザ・マッチとして挙げたのはFW久保純平(3年)。理由についてこう話す。「点には繋がらなかったけど、あれだけ前でボールを収めてくれたのがウチのサッカーに持ち込めた要因」。

 元々はターンをするのが得意な技巧派タイプのストライカーだが、昨年はなかなか良さが出せなかった。しかし、高校1年生からチームでの筋トレに加え、「どんなCBでも抑えられるように」自主練で腕を鍛え続けた。

 そうした努力の成果に加え、身体を使って収めることを意識してからはキープ力がアップ。「先輩に付いて行く気持ちが強かった昨年はアシストをまず考えていたけど、今年は3年生の自覚と責任が芽生えて、『点を獲りたい』という気持ちが強くなった」こともプラスに働いている。

 この日の試合では無得点に終わったが、身体を張ったポストプレーで2列目の飛び出しを促した。味方を引き出すプレーだけでなく、ターンからのシュートを狙い続けたのも相手の警戒心を高めるには好都合。飛び出す2列目を封じればOKではなく、久保自身のシュートも警戒しなければいけないのは、宇和島東にとって厄介だったのは間違いない。

 貢献は攻撃面だけに留まらない。「前線からのプレスと裏への抜け出しを意識した。あとは奪われた直後の切り替えを速くして、相手コートでのカウンターを狙っていた」と久保が振り返るように前線からのチェイシングもチームにとって大きかった。

 新田は前から守備をするスタイルであるため、前線の選手は後半に途中で交代することが多かったが、久保はフル出場を目標にしてきた。この日は最後まで運動量を落とさず、フル出場。その働きぶりについて清水監督は「『なんで僕が途中で代わるんですか?』という気持ちの強さがある。今は1試合通してしっかり走れる体力がついてきたので、非常に頼りになっている」と称えた。

 昨年も主力としてチームを支えたが、予選決勝では今治東中等教育学校からゴールが奪えず敗戦。エースとして迎える今年、リベンジに懸ける想いは誰よりも強い。「昨年も優勝したい気持ちはあったけど、決勝で負けてしまった。僕は試合に出たけど、まったく通用せず悔しかった。自分の持ち味のターンやポストプレーができなくてチームの力になれなかった。今年は悔しさを糧に頑張ってきたので、選手権を獲りに行きたい」。昨年から一回りも二回りも逞しくなった姿を見せつけるためにも、久保は前線で奮闘を続ける。

(取材・文 森田将義)
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