明治安田J1第19節第1日(26日、神戸4-0札幌、ノエスタ)神戸がFW古橋亨梧(25)の2ゴールなどで完勝。元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(36)も3得点に絡む活躍で、三浦淳寛新監督(46)の初陣を飾った。今季初の連勝で勝ち点26とした。
後半45分、4点目となるFW小田のゴールを見届けると、神戸の三浦新監督はベンチ前で飛び上がってガッツポーズした。オンライン取材に少し枯れた声で語ったのは、選手への思いだった。
「札幌の戦い方を分析した中で、選手に落とし込んだものが結果に表れた。選手に感謝したい」
紺のジャケットに白いスニーカーで、ときに腕を組み、ときに両手でジェスチャーを送りながらタッチライン際に立ち、指示を送り続けた。21日付で退任したトルステン・フィンク監督(52)の後任として、強化部トップのスポーツダイレクターから新監督に就任する異例の人事。FKの名手として日本代表でも活躍した名MFながら、指導歴がない中の抜擢(ばってき)でこの日、初陣を迎えた。
24日の就任から札幌戦に備えて練習したのは2日間だけ。それでも、選手たちが期待に応えた。引っ張ったのはMFイニエスタ。後半17分に相手CKから左サイドのFW古橋にパスを通し、カウンターでのチーム3点目をアシストするなど3ゴールに関与。「これまでやってきたことに監督のアイデアをつけることで、さらに成長できる」と話していた背番号8が、フル出場で攻撃の起点になった。
「まだやりたいサッカーには時間がかかるが、チーム全体が一つになって全て勝つ、そういう気持ちでやっていく」
新指揮官は前を見据えた。7月8日の第3節鳥栖戦以来の無失点勝利。そして今季初の2連勝だ。ホームに陣取った5335人のサポーターは、大きな拍手と「アツとともに突き進もう」の横断幕で後押し。それを背中で受け止めた三浦監督が、最高の船出を飾った。(邨田直人)